どのくらいの物件価格だったら問題なく購入できますか?
購入可能な物件価格は、“自己資金の金額”と“返済可能な住宅ローンの借入額”の合計額となります。
(購入可能な物件価格)=(自己資金の金額)+(返済可能な住宅ローンの借入額)
まず、“自己資金”の検討ですが、マイホームを購入するときには諸費用がかかり、現金払いが基本です。また、諸費用は物件形態によって違いがあります。そこで、予算の検討の段階では、物件形態によって、物件価格に対して次のような目安を立てて置く必要があります。
物件形態 | 物件価格にかかる諸費用目安 |
---|---|
新築マンション | 約4% |
新築戸建て(分譲) | 約4% |
注文住宅(土地なし) | 約8% |
中古マンション・一戸建て | 約7% |
ちなみにマイホーム購入時の諸費用には、物件に関する諸費用(登記費用、仲介物件の場合は仲介手数料、契約書の印紙代など)、住宅ローンに関する諸費用(保証料、事務手数料、登記費用など)、新居用の家電・家財道具購入費、引越し代などがあります。
ここで、マイホーム購入時の諸費用は、基本的に現金で支払う必要があるので、自己資金から差し引く必要があるので、俗にいう“頭金”は次のようになります。
(頭金)=(自己資金)−(マイホーム購入時の諸費用)
個別相談を受けると“自己資金”=“頭金”と思っている人が多いのですが、“自己資金”≠“頭金”ということをよく理解しておきましょう。
たとえば、自己資金が800万円で物件価格が4000万円の新築マンションの場合、マイホーム購入時の諸費用の目安は4000万×4%=160万円となるので、頭金はマイホーム購入時の諸費用を差し引いた640万円(800万円−160万円)となり、自己資金800万円が全額自己資金になるわけではありません。
また、現在の預貯金をすべて自己資金に使うことはできるだけ避けて、現在の預貯金から生活予備資金として毎月生活費の6か月〜1年分と予定されている支出(出産費用や入学費用など)を差し引いた金額を“マイホーム購入のための自己資金”としましょう
次に「返済可能な住宅ローンの借入額」の検討方法です。
実際に住宅ローンの借入可能額は、金融機関の審査を受けないと最終決定しませんが、安心安全な資金計画の立て方では“返済可能な借入金額”をベースに考えます。
まずは“金融機関から借入可能額”≠“返済可能な借入金額”ということを認識しておきましょう。
方法1:年収(手取りベース)に対する住宅ローンの返済割合の計算
方法2:将来の収入支出のキャッシュフロー表を作成したシミュレーション
方法3:“現在の住居費”=“購入後の住居費”となる住宅ローンの返済額の計算
方法1は、“年収(手取りベース)”に対する“住宅ローンの年間返済額”の割合を計算するもので、目標は20%、20〜25%は許容範囲、25〜30%は要注意、30%以上は見直しが必要となります。ただし、この方法は、教育資金など住宅ローンの返済以外の家計の支出(教育資金や老後資金の貯蓄など)を考慮することができません。
方法2は、将来の収入、支出、資産残高を表やグラフにして検討するものです。将来の資産残高がマイナスにならないように、住宅ローンの返済も含めた家計全体の対策案を検討しやすいのですが、収入と支出とも変動する可能性があるので、不確定要素が多い検討方法となります。
方法3は、“現在の住居費”をもとにした検討方法です。“現在の住居費”=“購入後の住居費(住宅ローンの返済額+住宅維持費)”なれば、家計全体としては問題が起こりにくく、“現在の住居費”をベースに現実的な検討が可能となります。
なお、住宅ローンの返済額は、返済期間、適用金利、返済方法(ボーナス返済の有無、元利均等返済か元金均等返済)で変わりますが、住宅ローンの具体的な検討方法は次回のコラムで解説します。
住宅会社の提案する住宅ローンのシミュレーションのみで資金計画を検討する人が多く見受けられますが、マイホームの購入は、多額の支出と借入金が発生するので、このような検討方法を組み合わせながら十分検討する必要があります。
資金計画を検討できるマイホーム購入計画診断サービスを用意していますのでぜひご活用下さい。
【今回のポイント】