住宅ローンの選び方を教えてください。
“得する住宅ローンの選び方”というアドバイスをよく目にしますが、この考え方は大きな間違いです。住宅ローンは、資産運用の金融商品や生命保険などと違って借入金です。借入金は延滞をすると、個人信用が傷がついたり、返済ができないと自己破産の道につながります。
よって、住宅ローンは損得ではなく、安心安全に返済できるかどうかということを重視して検討する必要があります。
安心安全な住宅ローンの選び方について、次のように7か条をまとめてみました。
雑誌などの特集の影響で、“得する住宅ローンの選び方”を教えてください、という相談が多いのですが、住宅ローンは運用商品ではなく借入金です。借入金は損得でなく、まずは問題なく返済できるかどうかを第一優先に考えることが重要です。
住宅ローンの返済利息額の総額を少なくすることや返済元本を減らすことは、確かに重要なことですが、これは返済が問題なく続けられることが大前提です。
住宅ローンの返済額は、適用金利と返済期間、返済方法(ボーナス返済の有無と金額など)で決まります。シミュレーションによって、実際の返済額を確認して、金利が上昇して返済額が増えても、また子供の教育費が増えても、家計に問題がないかの確認が重要です。
“得する住宅ローンの選び方”という考えに影響されて、住宅ローンの返済利息額の総額を少なくすることや返済元本を減らすことに重点をおいてしまい、住宅ローン破綻する人やその予備軍の人がたくさんいます。
住宅ローンで“得しよう!”ということよりも、多少コストを払ってでも、毎月、毎年、経済的にも精神的にも負担なく返済できる計画を優先することが重要です。
まず、“自己資金”の検討ですが、マイホームを購入するときには諸費用がかかり、現金払いが基本です。また、諸費用は物件形態によって違いがあります。そこで、予算の検討の段階では、物件形態によって、物件価格に対して次のような目安を立てて置く必要があります。
住宅ローンは不動産会社の提携ローンを活用する場合がほとんどです。
ただし、提携ローンのサポートをする住宅会社の営業マンは住宅ローンのプロではありません。金融機関の住宅ローン担当者から、ローン相談会などで、 まずは各金利タイプの特徴や優遇金利の仕組みを確認してください。というのは、変動金利、10年固定金利は各銀行によって多少違いがあり、金利タイプの特徴や優遇金利の仕組みを十分に理解しておらず、借入後に慌てる方がとても多いからです。
ちなみに、どの金利タイプが得しますか?という相談がとても多いのですが、それぞれの金利タイプにはメリット・デメリットがあり、将来の金利の変動予想は誰もできません。
【金利タイプのメリット・デメリット】
メリット | デメリット | |
---|---|---|
変動金利 | 適用金利が低いので、返済額が少ない | 適用金利が上昇すると返済額が増える |
10年固定金利 | 固定金利期間中は市場金利が上昇しても返済額は一定 | 固定金利期間終了後の金利が未定なので、その後の返済額がいくらになるかわからない=リスクが高い |
全期間固定金利 | 市場金利上昇しても返済額は変わらない |
市場金利が下降すると利息負担が大きくなる 金利が高いので返済額が多い |
現在、ほとんどの方が、結果として変動金利を選んでいます。それは、優遇金利を活用すると、現在の適用金利が約1%になるからです。変動金利を否定することはしませんが、必ず金利が上昇した場合、どのくらい“返済額”が増えるか実額で確認しておく必要があります。
また、10年固定金利を推奨するケースもよく目にしますが、10年固定金利は10年後にならないと適用金利が決まらない=返済額が決まりません。
10年固定金利は借入時に返済額のいくらになるか予想がつかいないということは、金融の世界ではもっともリスクが高い=返済不能になる可能性が高い金利タイプになります。
全期間固定金利は、完済まで返済額が変わらないので安全性がもっとも高いのでお勧めではありますが、変動金利の金利よりも高いので当然返済額が大きくなります。
借入する金額によりますが、変動金利と全期間固定金利のミックスという選択も考えられます。
将来の金利の予想することは不可能ですが、金利が上昇した場合を想定して返済額を具体的に算出し、その返済額をみて家計が対応できるかどうかを必ずシュミレーションしてください。
【事例】
借入金額3000万円 返済期間35年 元利金等返済 ボーナス返済なし。
借入金額によって当然毎月の返済額は変わってきます。また、年収や家族構成によって、同じ返済額でも負担の度合いが違います。当たり前の話ですが、実際の返済額を見ながら、返済計画を検討することが重要です。
返済期間を短くしたほうが、支払利息の合計額が少なくなることや早く返済が完了したほうがよいのは事実です。
しかし、返済が苦しくなって、返済額を少なくするために、住宅ローンの返済期間を長くすることはとても難しいです(金融の審査も必要で、場合によっては通称ブラックリストに掲載されることになります)。
よって、借入時は余裕を持って、長めに借りることをお勧めしています。
住宅ローンの比較をする場合、返済額に影響するのは適用金利ですが、借入時の諸費用や借入後の諸費用=繰上げ返済手数料の比較も必ず行ってください。
住宅ローンの窓口ですが、次のいずれかになります。
住宅形態(マンション・戸建、新築・中古)や住宅会社により、どの窓口を活用したほうがよいか、優遇金利幅や事務手続きの負担なども考慮して検討する必要があります。